北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

まず①入居者満足を高めるとはどういうことでしょうか。

貸し手市場のときのように、入居者が生活を始めて、

何もしないでいても、入居者満足は高まりません。

また、何か水漏れや近隣トラブルなどクレームが発生

してから対応するとします。これも入居者満足につながる

ことは少ないです。何事もなく対応して±0であり、何か

対応に不備があると-1にもー10にもなるのです。

ということは、何もなく生活して頂いているときに、いかに

満足につながるサービスを提供できるかが大切になる、

ということです。これからそのようなサービスを具体的に

いくつかご紹介していきます。

(入居者満足につながるサービスの例)

①-1 入居時に特典サービス

①-2 優良入居者には毎年サービス

①-3 共用部の水栓開放

①-4 イベントの企画と運営

①-5 こちらからクレーム事前対策(アンケート)

などがあります。実際に自主管理の家主さまが実施している

ものから、企業と提携をしてサービスを提供しているものまで、

様々です。

テナントリテンションを高める、と言っても数字で見える

ものでもないですし、高まったかどうかを明確に示すことは

難しいと思います。ただ、昨今の賃貸市場の傾向や入居者

ニーズなどから推測することはできるのではないかと考えて

おります。

では、テナントリテンションを高めていくために何をすれば

良いのでしょうか。

大きく3つのポイントがあります。

(テナントリテンションを高める3つのポイント)

①入居者満足を高める

②独自の運営サービスをする

③他にはない(もの)を提供する

です。

この3つのポイントを抑えることで、入居者の長期入居を

促進することが出来ると考えております。

それぞれのポイントごとに具体的に紹介していきます。

賃貸経営について面白い話を聞いたことがあります。

「昔は、入居者が出入りすればするほど儲けるのです!」

このような経験をされてきたオーナーさまも、少なくはない

と思います。このような神話のような話が、現実として

起きていた時代があったのです。

まだ賃貸住宅の供給が少ないとき(エリア)は、貸し手市場

ですので、このような話が成立しておりました。しかし、

昨今のように、賃貸住宅の供給が増加し、逆に借りてである

入居者(人口)が減少している中では、典型的な借り手市場と

なっております。

このような市場では、昔の神話のような現象は起こるはずが

ありません。正反対の現象が起きているのです。

これを比較してみると以下のようになります。

(貸し手市場の場合)

・家賃:5万円 共益費込み

・敷金:30万円

・敷引き:30万円

・広告料:5万円

・退去清算:入居者負担(大)

・次回募集家賃:5.5万円

★差し引きすると・・・+30万円 ※この計算は1ヶ月のみでの

計算となります。

(借り手市場の場合)

・家賃:5万円 共益費込み

・敷金:0万円

・礼金:5万円 ※ワンルームでは、一般的にゼロゼロ物件と呼ばれ

ものが急増しています。

・広告料:10万円

・退去清算:オーナーさま負担(大)

・次回募集家賃:4.7万円

★差し引きすると・・・±0万円

以上のようになります。この差だけでも30万円あります。退去して

次の募集をかけるのに、家賃が上がっていた時代です。

昨今の賃貸市場は、一度退去が発生すると

・家賃は下がる↓

・初期費用は下がる↓

・リフォーム費用負担は増える↑

・広告料は増える↑

など、マイナス要素がたくさんあります。このような中で、賃貸経営で

成功するために必ず必要となるのが、

“テナントリテンション=長期入居”

だと考えております。

では、このテナントリテンションを高めるためにどうすれば良いので

しょうか。

このように空室対策とは、現状をきちんと把握し、それを元に

原因を分析し、対策を講じることで満室経営に近づけていく

ことができます。

オーナーさまでも簡単に実施することができます。ただ、その

場合に大きな障害となるのが“オーナーさまの主観や固定観念”

です。

過去のこれが今後の賃貸経営の障害となるケースがでてきます。

昨今の賃貸市場の動きはとても早くなっています。家賃や礼金などの

条件面もそうですし、オーナーさまのお客様である入居者の

ニーズもめまぐるしく変化しています。これらの動きを敏感に

感じ取り、それを賃貸経営にそのまま反映していくことが必要です。

このように柔軟に対応できないオーナーさまの経営は、今後厳しく

なってくることが予測されます。

それと、何度もお伝えしているように、これからは

“テナントリテンション”

が賃貸経営をする上で、キーワードとなってきます。これは、

借りてくれる期間を1日でも長くする、という考え方です。

これまでは、空室が出たときに「空室対策」が必要です、という

ことが大きく叫ばれてきました。

確かに、空室対策はこれまで通り重要な要素になります。

次からはテナントリテンションの必要性についてお伝えしていきます。

客観的事実情報で現状を正確に把握し、それをもとに

空室の原因が明確になれば、あとはそれぞれの空室の

原因に対して対策を考え、実践していくだけです。

空室の原因は様々ありますが、その対策としてはある程度

限定されてきます。

今回の相談に対しては、

①物件資料の作成

②毎週50件のFAX

③条件の見直し

④期間限定キャンペーン

⑤POPの作成

⑥リノベーションの実施

⑦入居者参加型の募集

⑧案内状況の管理・分析

という形でご提案致しました。最初の①から④については、

物件への案内件数を高めるために認知度を高める効果が

あります。

また、④から⑦については、案内から成約に至る成約率を

高める効果があります。

あとはこれらの対策を実践していくことが重要となってきます。

この“実践”がとても難しく、一筋縄ではいかないものです。

無題

次にすることが、②原因の分析です。

一番最初に行った現状把握での情報をもとに、空室の原因が

どこにあるのかを調査していきます。最初に何度もお伝えした

ように、現状把握がとても大切でシビアだというのは、このステップ

に影響してくるからです。

空室が長期化し、なかなか決まらない原因はある程度絞ることが

できます。ただ、極端に需要がない場合などは除きます。(例えば、

駅から30分以上離れた山奥であるとか、大規模な企業が撤退して

しまったなどの場合は、イレギュラーな対応となります。)

空室の主な原因は

1.案内件数が少ない

2.成約率が低い

このどちらかが原因として考えられます。

ですので、ご自身の賃貸不動産の空室の現状として、案内件数は

週に何件あるのか、問い合わせ件数はどのくらいあるのか、という

ことを把握しておく必要があります。

だいたい、週に6件の問い合わせで2件案内くらいあれば問題ないと

考えられます。このような状態であれば、賃貸仲介会社(営業マン)への

認知度は高く、条件的にも間違いないことが推測されます。もし、

案内件数が少ない状況であれば、そこに原因があります。

次に考えることが、案内件数は一定量確保できているが、

そこからの成約率が低いということです。それは、物件に何かしらの

問題があることが多分にあります。それは、空室に入ると“排水の嫌な

臭いがする“”クモやゴキブリなど虫の死骸がある“という小さなことから、

“部屋に特徴がない”とか“外壁に劣化の跡が著しくみられる”という

大きなことまで様々あります。

それらのポイントをチェックしていき、どこに問題があり、空室になっている

のかを明確にしていきます。

これが次のステップである、原因の分析です。

無題

まず、①現状把握をすることが大切です。

これは、事実のありのままに把握することです。

建物の概要はもちろんのこと、

1)募集方法(媒体)

2)募集条件

3)空室期間

4)反響状況

5)周辺環境

6)周辺の競合物件状況

7)既存入居者の状況(入居条件・家族構成など)

 ※現状の収入状況

などをヒアリングさせて頂きます。現状を把握できれば、

その事実からどこに空室の原因があるかを分析していきます。

ということは、この一番最初の「現状把握」がとても大切で、

この情報に誤りがあると、正しい分析ができず、空室対策を

考える際に全く違った方向に向かってしまうことになり兼ねません。

ですので、最初のヒアリングはより細かく、より丁寧にまとめて

いくことが大切です。

無題

大阪府堺市中区深井北町

1993年築

鉄筋コンクリート造

3階建て

14戸中4戸空室(※2、4月末退去で合計6戸)

75,000円(共益費など別)

無題

 

の賃貸マンションで、空室が目立てなかなか決まらないからアドバイス

してほしいと連絡を頂きました。長い部屋では1年以上空室ということ

です。

空室対策のコンサルティングをする場合は、まずは次のステップで

実施していきます。

(空室対策コンサルティングのスキーム)

①現状把握

②原因の分析

③対策の立案

④対策の実行

⑤結果のチェック

このスキームを徹底することで、空室は間違いなく決まります。

このように、オーナーさまご自身でも実行することは可能です。

ただ、その場合に問題になるのが「オーナーさまの主観」です。

この主観が入ってしまうと、空室の原因や対策を考えるときの

妨げになってしまいます。

ご相談を頂いた時点での入居率71.4%(4月末には57.1%)

の賃貸マンションを満室にするまでの実際の事例をご紹介させて

頂きます。

大阪府大阪市住吉区苅田

1979年築

鉄筋コンクリート造

7階建て

1LDK(48㎡)

75,000円(共益費など別)

無題

の賃貸マンションで、オーナーさまから、なかなか入居が決まらない、

と相談を受けました。

「一度、お部屋を見てください。」ということで、問題のお部屋を見させて

頂き驚きました。別の意味で問題がありました。

それは、このお部屋は3ヶ月ほど前に約300万円を投資して、ほぼ

フルスケルトンリノベーションをしているのです。その上、デザイン性や

機能性も高く、非のうちどころがないお部屋でした。当時で、築年数が

30年くらいでしたが、お部屋の中は新築そのもの。300万円投資をした

だけのことがあるお部屋でした。

では、なぜこのお部屋が決まらないのか・・・。

空室の原因として考えられることは、

①間取りのニーズが乖離している

②募集条件が乖離している(家賃・礼金など)

③認知度が低い

④案内方法が複雑

⑤外観に決定的なウィークポイントがある

以上のようなことが考えられます。

一つひとつみていくと、募集方法に問題があるのではないか、と

考えました。これだけのお部屋にしているのですが、オーナーさまは

今までと同じように、仲介会社さんに

“リノベーション物件”と募集条件を箇条書きにしたFAXを送っている

だけでした。これでは、このお部屋の良さは一切伝わりません。

まず、認知度を上げることと、仲介会社さんの営業ツールを整備する

ことが必要ではないかと思い、独自の物件資料を作成し、オーナーさまに

近隣の仲介会社さんに持って行ってもらうようにしました。

結果的に、それから約10日前後で入居が決まりました。

空室とは、必ずどこかに原因があります。その原因が明確になれば、

特に投資をする必要もなく入居を決めることができるのです。

無題

大阪府堺市北区東雲東町

1988年築

鉄筋コンクリート造

3階建て

2LDK(45㎡)

58,000円(共益費など別)

無題

の賃貸マンションで、今までに外装工事をしていないので、

建物診断をしてほしい、とのご相談を頂きました。空室もありましたので、

空室診断と建物診断を実施しました。結果的に、外壁のクラックや

共用部の劣化が著しく、入居募集にも影響を与えているほどでした。

ですので、外壁・屋根・共用部分の修繕工事をご提案いたしました。

また、物件的にも「補助金」を活用できる物件でしたので、補助金を

活用しての大規模修繕を行いました。

外壁などの大規模修繕も室内のリフォームと同じ考えの部分があります。

室内では、壁一面だけクロスの色を変えても、金額的には大きく差は

ありませんが、入ったときのインパクトは雲泥の差になります。

このように外壁についても、既存の状態と同じ色に塗り替えるのであれば、

一部分だけ色を変えたりして、印象を変えていく方が、建物の印象は

グッと上がります。ですので、提案時にはこのようなパースを作成して

ご提案をします。

無題

 

今回の場合は、オーナーさまの希望でもあり、派手な色はやめて、

ホワイトをアクセントにして、落ち着いた外観に仕上げました。

例えば、上記のパースのように、一部分だけ色を変えたとして、

工事費がどれだけ変わるかということです。正直な話、一切変わりません。

しかし、建物のイメージはガラっと変わります。

このように、大規模修繕をするだけでも、一工夫することが大切です。

ちなみに、ここでは450万円の工事費が必要となりましたが、そのうち

補助金が100万円おりて、実質350万円という実績となりました。