経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月19日 4:18 PM
2)元金均等返済で借入をするとどうなるかと言うと、
このような返済方法になります。
借入返済額に対する元金の割合がずっと一定に
なります。申告計算上では経費にできる利息についても
将来に向かって大きく変化することがありません。
その代わり初年度から、借入返済額に対する利息割合が
元利金等返済に比べて少ないので、所得税対策効果は
薄くなります。
ということは、デッドクロスは早くくるということです。ただ、
図でも分かるように、元利金等返済に比べて経年とともに、
大きく利息が減少するということがないので、減価償却費が
少なくなってくる15年以降でも、所得税の負担が大きくなる
ということはありません。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月18日 4:18 PM
所得税対策をもう少し詳しく説明していきます。
まず、
1)自己資金を多くする
ということは、借入を少なくするということです。
多くの場合、新築で建てるときはフルローン(満額融資)
から総事業費の90%の借入をし、また収益物件を購入
する場合でも、総事業費の90%~80%を借入で所有
します。
では、自己資金の割合を増やして、借入額を少なくすると
どうなるかというと、元利金の返済額が少なくなります。
デッドクロスの原因となる元金返済の額も根本的に少なく
なります。ですので、キャッシュフローに対する影響が
小さくなるということです。ですので、自己資金を多くする
ことが所得税対策の一つとなるのです。
これは企画の段階で、事業計画を立てる際に決めておく
必要があります。運営が始まってからでは、自己資金の
割合を調整することはできません。
その場合は、毎年キャッシュフローを貯蓄して、繰上げ
返済に充てていくという方法になります。
このように賃貸不動産の運営が始まり、いざ所得税が
高すぎて・・・という状況になってからではなく、事業計画を
立てるときから様々な税金のリスクを考慮した計画にする
ことをお勧めします。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月17日 4:17 PM
所得税は先ほども言いましたように、賃貸経営においては
つきものです。では、デッドクロスが起きて、所得税が上がって
いくことに対して、どうすれば良いのでしょうか。
それにはきちんと対策があります。対策は大きく分けて二つに
分けられます。
①企画段階での対策
②運営段階での対策
です。
①企画段階での対策については次の通りです。
1)自己資金を多くする
2)元金均等返済で借入をする(但し、デッドクロスの時期は
若干早まります。)
3)返済期間を短くする
4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)
②運営段階での対策をご紹介します。
1)青色申告をする
2)経費(損金)をつくる
3)保険(共済)などで経費をかける
4)繰り上げ返済をする
5)新たな減価償却資産を購入する(築年数の浅い収益不動産
など)
6)ローンのリスケジュール(返済期間延長)をする
7)ローンの借り換えをして返済期間を延長する
8)売却し、新たに購入する
9)内部留保をデッドクロスに備える
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月16日 4:00 PM
では、年々所得税負担が大きくなるカラクリを、
簡単なキャッシュフローツリーで説明していきます。
見るポイントとしては、手残り計算と申告計算では
経費に計上できる項目が変わってくるということです。
そこでの重要な項目が
・減価償却費
・元金の返済額
です。これを実際に数字でみていきます。
【手残り計算】
総潜在収入 810.0
▲空室損 45.0
▲滞納損 0.0
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実行総収入 765.0
▲運営費 121.5
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実際の収入 643.5
▲返済額(利息) 156.0
▲返済額(元金) 356.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
税抜き前CF 131.5
【申告所得の計算】
総潜在収入 810.0
▲空室損 45.0
▲滞納損 0.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実行総収入 765.0
▲運営費 121.5
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実際の収入 643.5
▲返済額(利息) 156.0
▲減価償却費 220.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
課税所得 267.5
上記の図式のような計算式になります。手残り計算と
申告所得の計算では、青色で囲んでいる部分が
項目として変わってきます。
この項目が経年とともに同じように減少したり、同じように
増加するのであれば問題はないのですが、これが真逆の
動きをすることがデッドクロスの大きな原因になります。
この事例のように、手残り計算では手元に131万円しか
残っていないのに、税務署に申告する所得では、267万円
も利益が出たということで申告しないといけないのです。
こうなってくると何が起きるかというと、所得税を支払うと
赤字になる、ということが起きてきます。これを“黒字倒産”
と言います。
このようになる前に対策をきちんと考え、不動産経営をしていく
ことが大切になります。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月15日 3:53 PM
もう所得税に対して関係してくるのが、
(元利返済の割合)です。
金融機関からの借入をする場合には、返済方法が
大きく分けて2つあります。
①元金均等返済
②元利均等返済
です。これは選択することができますが、一般的には
元利金等返済を選ばれる場合が多いと言えます。
この選択により返済額に占める元金の割合などが
変わってきます。では、具体的にどのような動きになる
かは、図式を参照して下さい。
ですので、一般的に多く採用されている元金均等返済を
されると、最初は金利(利息)分を多く支払い、
年数の経過とともに元金割合が多くなる、という形に
なります。ということは、申告上経費としてみてくれる
“金利(利息”分がどんどん少なくなる、という構図に
なっているのです。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月14日 3:51 PM
(減価償却費)の動きをまとめてみます。
さきほども説明しましたが、減価償却費については
経年とともに減少していく動きをします。項目としては
大きく2つに分けられます。一つが設備と、もう一つが
躯体です。これは、金額が明確に分けられている場合は、
その内訳通りに按分することができますが、収益物件
などを購入する際には、分かれておりません。
そういう場合は、簡便法という方法で
「設備 : 躯体 = 30% : 70%」
という割合で按分します。
それが減価償却費の基準の価格となります。
償却方法については、躯体は“定額法”で償却していきます。
ただ、設備に関しては“定額法”もしくは“定率法”から選択
することが可能です。一般的には“定率法”を選ぶ場合が
多いです。
この選択により、償却の仕方が変わってきますので、
所得税対策などを考えながら、決めることが大切です。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月13日 3:51 PM
次はキャッシュフローツリーを分析していく中で
一つの大きなテーマになるのが、“所得税”です。
所得税はきちんと納めるべきものであり、ごまかして
節税をすることに対してはクエスチョンがあります。
ただ、不動産経営における所得税をきちんと理解し、
そのための対策を講じておくことは必要です。
不動産経営においての所得税は、経営年数が経過
すればするほど高くなってきます。これは誰が経営
しても同じようになります。しかし、それを理解して
対策をしているか否かで、キャッシュフローは大きく
変わってくるのです。
不動産経営における所得税を考えるときにキーワードと
なるのが、
(1)減価償却費
(2)借入利息(借入元金)
です。この2つの数値の変動により、所得税は年々高く
なっていくようになるのです。
それぞれについて詳しく説明をしていきます。
経営の極意~キャッシュフローツリー~ 2014年4月12日 3:50 PM
③ローン定数を簡単に言うと、“銀行への返済利回り”
です。表面利回りやネット利回りは投資した額に対して、
その投資で生み出す収入からどのくらいの割合で
回収できるか、という指標です。
これに対してローン定数は
銀行から借り入れた額をどのくらいの割合で返済して
いくことができるか、というものです。銀行への返済利回り
のようなものです。
ですので、この数値は低ければ低いほうがいいわけです。
この数値に影響を与えるのは、
・金利
・期間
となります。
金利は低い方が良いですし、期間は長いほうが良いわけです。
計画的に短期でのお借入をされる場合は別です。
ネット利回りからローン定数を差し引きしたものがキャッシュフロー
となります。
この指標を元に、借入条件が悪すぎないか、ということを
分析し、再検討することで、条件の見直しなどの対策が
必要かどうかが浮き彫りになります。
経営の極意~キャッシュフローツリー~ 2014年4月11日 3:50 PM
②ネット利回りは、より実際の経営状態に近い
状況での投資効率に対する分析です。ですので、
表面利回りはざっくりと大まかに判断する指標として、
実際に購入を検討する場合は、ネット利回りで判断する
ことをお勧めします。しかし、この指標だけで数億円の
買い物の判断をすることは危険です。
イメージとしては、
①表面利回り : 10%
②ネット利回り : 7%
③キャッシュフロー利回り : 3~4%
というのが、一つの目安です。
企画の仕方や築年数、タイプによっても変わってきますので、
一つの目安に過ぎません。
何度も言いますが、一般的に不動産売買の市場で
言われている“利回り”というのは表面利回りです。
表面利回りだけで購入を判断することは大きなリスクです。
購入した後の賃貸経営では、様々なリスクが発生する可能性が
あります。そのようなリスクを想定した数字で検討しないと、
所有後に発生してからでは遅いのです。そのリスクをヘッジする
術がないのです。
ですので、オーナーさま一人ひとりが業者に言われるがまま
ではなく、きちんと判断できる指標をもつことが必要です。
それなくして、不動産投資、賃貸経営で成功することは
困難です。逆に言えば、その指標をもった上で、不動産
投資や経営をしていけば成功します。
経営の極意~キャッシュフローツリー~ 2014年4月10日 3:50 PM
次は(効率性)についてみていきます。
もう一つの指標である(安全性)は、その事業が
どれだけ安全かということを示しています。
それに対して効率性については、その事業の効率性、
つまり投資に対してどのくらいの割合で回収
できるか、そのリスクや効率性はどうかということを
分析します。
①表面利回りについては、本当にざっくりとした指標と
なります。そのマンションが潜在的に稼ぎ得る総収入と
建築金額(税込み)のみで計算し、どのくらいの投資効果
(投資利回り)があるかという指標です。ですので、
一切の空室リスクや家賃下落リスクは加味しておりません。
また、その分母となるものも、建築金額のみであり、
その他本投資に必要となる諸経費は考えません。
ですので、具体性は低い判断基準となりますので、
最初の段階でざっくり判断する際に用います。
例えば、収益物件を購入する場合でも、売値と収入で
最初にざっと判断してしまいます。その上で、ある程度
土台に乗るような数字が出れば、詳しく中身をみていく、
といった感じです。
また、世間で言われている“表面利回り”というのは
この数字のことです。ですので、購入や新築を計画する
際には、この指標だけで購入を決定すると、後で空室や
家賃下落、滞納など様々な状況の変化に対応できず、
自己破産といったことにもなりますので、あくまでも
大まかな判断基準としてお考え下さい。