北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

事業収支計画を立てる時点で、所得税(デッドクロス)まで

考えた事業計画を立てることができれば、様々なリスクを

把握し、事前に対策を打つことができます。

4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)とありますが、

これができればベストです。しかし、賃貸経営をしていても、

入居率や情勢、税制などの変化を予期することはとても

困難です。

全ての計画で、当初立てた計画から寸分の狂いもなく、事業を

遂行できれば誰も苦労しません。そこに予期せぬことが起きたり、

賃貸経営特有の経年に伴うリスクに頭を抱えるのです。

ですので、長期計画を立てられる際にも、賃貸経営をする上での

様々なリスク(空室や家賃下落、金利上昇など)を検討して

おくことが大切です。

その中で、どのような対策が立てられるか、ということが重要に

なります。無理な計画を立てるのではなく、最悪のシュミレーションの

中での対策を考えることです。

計画前ならびに計画段階で考えられることは、これまでに説明して

きたような内容です。

あとは、運営しながら様々な対策を考えること、他の資産との組み合わせ

にて対策を講じていくことが大切になります。

企画段階で考えられることの一つとして、

3)返済期間を短くする

ということがあります。

返済期間を短くするということは、毎月の

返済額が多くなります。また、短期でのお借入

になると、その分1回の返済額に占める利息分

の割合も高くなるので、申告上経費として計上

できる分が多くなります。

この対策に関しては、借入を短期にすることで、

税務上のリスクは改善されると思いますが、

キャッシュフローは圧迫される恐れが高いです。

税務対策はできたが、肝心のキャッシュフローが

残らないという事業になっては、何をしているか

分りません。ですので、事業の計画段階できちんと

シュミレーションをした上で、何年で借入をするのか、

ということを明確にしておく必要があります。

2)元金均等返済で借入をするとどうなるかと言うと、

無 題

このような返済方法になります。

借入返済額に対する元金の割合がずっと一定に

なります。申告計算上では経費にできる利息についても

将来に向かって大きく変化することがありません。

その代わり初年度から、借入返済額に対する利息割合が

元利金等返済に比べて少ないので、所得税対策効果は

薄くなります。

ということは、デッドクロスは早くくるということです。ただ、

図でも分かるように、元利金等返済に比べて経年とともに、

大きく利息が減少するということがないので、減価償却費が

少なくなってくる15年以降でも、所得税の負担が大きくなる

ということはありません。

所得税対策をもう少し詳しく説明していきます。

まず、

1)自己資金を多くする

ということは、借入を少なくするということです。

多くの場合、新築で建てるときはフルローン(満額融資)

から総事業費の90%の借入をし、また収益物件を購入

する場合でも、総事業費の90%~80%を借入で所有

します。

では、自己資金の割合を増やして、借入額を少なくすると

どうなるかというと、元利金の返済額が少なくなります。

デッドクロスの原因となる元金返済の額も根本的に少なく

なります。ですので、キャッシュフローに対する影響が

小さくなるということです。ですので、自己資金を多くする

ことが所得税対策の一つとなるのです。

これは企画の段階で、事業計画を立てる際に決めておく

必要があります。運営が始まってからでは、自己資金の

割合を調整することはできません。

その場合は、毎年キャッシュフローを貯蓄して、繰上げ

返済に充てていくという方法になります。

このように賃貸不動産の運営が始まり、いざ所得税が

高すぎて・・・という状況になってからではなく、事業計画を

立てるときから様々な税金のリスクを考慮した計画にする

ことをお勧めします。

所得税は先ほども言いましたように、賃貸経営においては

つきものです。では、デッドクロスが起きて、所得税が上がって

いくことに対して、どうすれば良いのでしょうか。

それにはきちんと対策があります。対策は大きく分けて二つに

分けられます。

①企画段階での対策

②運営段階での対策

です。

①企画段階での対策については次の通りです。

 1)自己資金を多くする

 2)元金均等返済で借入をする(但し、デッドクロスの時期は

若干早まります。)

 3)返済期間を短くする

 4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)

②運営段階での対策をご紹介します。

 1)青色申告をする

 2)経費(損金)をつくる

 3)保険(共済)などで経費をかける

 4)繰り上げ返済をする

 5)新たな減価償却資産を購入する(築年数の浅い収益不動産

など)

 6)ローンのリスケジュール(返済期間延長)をする

 7)ローンの借り換えをして返済期間を延長する

 8)売却し、新たに購入する

 9)内部留保をデッドクロスに備える

では、年々所得税負担が大きくなるカラクリを、

簡単なキャッシュフローツリーで説明していきます。

見るポイントとしては、手残り計算と申告計算では

経費に計上できる項目が変わってくるということです。

そこでの重要な項目が

・減価償却費

・元金の返済額

です。これを実際に数字でみていきます。

【手残り計算】

総潜在収入       810.0

▲空室損         45.0

▲滞納損          0.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実行総収入       765.0

▲運営費         121.5

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実際の収入       643.5

▲返済額(利息)    156.0

▲返済額(元金)    356.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

税抜き前CF       131.5

【申告所得の計算】

総潜在収入       810.0

▲空室損          45.0

▲滞納損            0.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実行総収入       765.0

▲運営費         121.5

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実際の収入       643.5

▲返済額(利息)    156.0

▲減価償却費      220.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

課税所得         267.5

上記の図式のような計算式になります。手残り計算と

申告所得の計算では、青色で囲んでいる部分が

項目として変わってきます。

この項目が経年とともに同じように減少したり、同じように

増加するのであれば問題はないのですが、これが真逆の

動きをすることがデッドクロスの大きな原因になります。

この事例のように、手残り計算では手元に131万円しか

残っていないのに、税務署に申告する所得では、267万円

も利益が出たということで申告しないといけないのです。

こうなってくると何が起きるかというと、所得税を支払うと

赤字になる、ということが起きてきます。これを“黒字倒産”

と言います。

このようになる前に対策をきちんと考え、不動産経営をしていく

ことが大切になります。

もう所得税に対して関係してくるのが、

(元利返済の割合)です。

金融機関からの借入をする場合には、返済方法が

大きく分けて2つあります。

①元金均等返済

②元利均等返済

です。これは選択することができますが、一般的には

元利金等返済を選ばれる場合が多いと言えます。

この選択により返済額に占める元金の割合などが

変わってきます。では、具体的にどのような動きになる

かは、図式を参照して下さい。

表

ですので、一般的に多く採用されている元金均等返済を

されると、最初は金利(利息)分を多く支払い、

年数の経過とともに元金割合が多くなる、という形に

なります。ということは、申告上経費としてみてくれる

“金利(利息”分がどんどん少なくなる、という構図に

なっているのです。

(減価償却費)の動きをまとめてみます。

さきほども説明しましたが、減価償却費については

経年とともに減少していく動きをします。項目としては

大きく2つに分けられます。一つが設備と、もう一つが

躯体です。これは、金額が明確に分けられている場合は、

その内訳通りに按分することができますが、収益物件

などを購入する際には、分かれておりません。

そういう場合は、簡便法という方法で

「設備 : 躯体 = 30% : 70%」

という割合で按分します。

それが減価償却費の基準の価格となります。

償却方法については、躯体は“定額法”で償却していきます。

ただ、設備に関しては“定額法”もしくは“定率法”から選択

することが可能です。一般的には“定率法”を選ぶ場合が

多いです。

この選択により、償却の仕方が変わってきますので、

所得税対策などを考えながら、決めることが大切です。

次はキャッシュフローツリーを分析していく中で

一つの大きなテーマになるのが、“所得税”です。

所得税はきちんと納めるべきものであり、ごまかして

節税をすることに対してはクエスチョンがあります。

ただ、不動産経営における所得税をきちんと理解し、

そのための対策を講じておくことは必要です。

不動産経営においての所得税は、経営年数が経過

すればするほど高くなってきます。これは誰が経営

しても同じようになります。しかし、それを理解して

対策をしているか否かで、キャッシュフローは大きく

変わってくるのです。

不動産経営における所得税を考えるときにキーワードと

なるのが、

(1)減価償却費

(2)借入利息(借入元金)

です。この2つの数値の変動により、所得税は年々高く

なっていくようになるのです。

それぞれについて詳しく説明をしていきます。

③ローン定数を簡単に言うと、“銀行への返済利回り”

です。表面利回りやネット利回りは投資した額に対して、

その投資で生み出す収入からどのくらいの割合で

回収できるか、という指標です。

これに対してローン定数は

銀行から借り入れた額をどのくらいの割合で返済して

いくことができるか、というものです。銀行への返済利回り

のようなものです。

ですので、この数値は低ければ低いほうがいいわけです。

この数値に影響を与えるのは、

・金利

・期間

となります。

金利は低い方が良いですし、期間は長いほうが良いわけです。

計画的に短期でのお借入をされる場合は別です。

ネット利回りからローン定数を差し引きしたものがキャッシュフロー

となります。

この指標を元に、借入条件が悪すぎないか、ということを

分析し、再検討することで、条件の見直しなどの対策が

必要かどうかが浮き彫りになります。