北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

私が最近オーナーさまに口すっぱくお伝えしている

ことがあります。それは、

「これからの賃貸経営では、今までのように空室ができると

原因を分析し、対策を立て、実施する力は最低限必要です。

それ以上に大切になるのが、テナントリテンションを高める力

です。」と言って廻っております。

テナントリテンションとは、

“借りてもらう期間を延ばす”ということです。一度入居して

もらったら、1年でも長く、1ヶ月でも、1日でもというのが

オーナーさまの心情だと思います。

今までの賃貸経営では、

それは入居者の都合次第で、こちらではどうすることも出来ない!

と思っていませんでしたか。確かに、転勤などやむを得ない理由は

あると思います。しかし、オーナーとして何もせず、入居者の気分

次第で入退去を繰り返すような経営では、これからの賃貸市場で

生き残ることは難しくなってきます。

では、どうするのか。

それは、1日でも長く住んでもらえるような仕組み、サービスを提供

していくことです。賃貸経営は貸し手市場、リフォームすれば家賃

そのままで入居が決まる、というような話は過去の栄光です。

そこで、ここからは実際に賃貸管理などを通じて実践してきたことを

ご紹介させて頂きます。

所得税対策として効果的なことが、

資産を組み合わせるということです。

もう少し説明すると、資産を組み合わせることで、

新たな減価償却を加えるということです。

減価償却費は以前もご説明したように、税務上

経費として計上することができます。

また、一般的には経年と共に減少していきます。

ですので、年数の経過に伴い新たな経費を

つくる必要があります。

そこで、新たな資産を購入するのです。新たな

減価償却費を購入するという考え方です。

減価償却費が増えると、税務上のキャッシュフローは

圧縮でき、税金を抑えることができます。

資産の組み合わせにより税金を圧縮すると共に、

新たに増えたキャッシュで先の賃貸不動産の繰上げ返済に

充てていきます。繰上げ返済をすれば、税金対策にもなり、

キャッシュフローがどんどんまわっていきます。

このように資産を上手に組み合わせて、資産全体で

考えていくことが大切です。

簡単に説明すると、個人事業主でできる対策として、例えば

1)青色申告特別控除

2)小規模企業共済

などがあります。これはごくごく一般的な例です。

青色申告特別控除については、さきほどご説明をした通り

です。

小規模企業共済については、掛金月額は1,000円~70,000円

の範囲内で自由に選べます。払い込み方法も月払いか半年払い、

年払いから選ぶことができる共済制度です。

掛金については、全額課税対象から控除することができます。

気をつけないといけないのが、実際に手元からその分は支払わないと

いけない、という点です。

共済金を受ける際は、その発生事由により様々ですが、こちらからの

解約申し出については240ヶ月以降であれば、掛金を割ることは

ないかと思います。

共済金の税法上の取り扱いは、事由により退職所得扱いと一時所得扱い

に分かれます。ちなみに、解約を申し出た場合には、一時所得扱いと

なりますので、計画的に実施することが大切です。

所得税対策として次に考えることは、運営が

始まった状態でいかに対策をするか、ということを

考えることが大切になってきます。

まず個人事業主であれば誰でもできることとして、

1)青色申告

があります。これは、毎年65万円を経費として計上

することができます。事業的規模としては、10室もしくは

戸建の場合は5棟という基準があります。この基準を

満たしているオーナーさまであれば、個人事業主として

青色申告をすることができます。

同じような考えで、所得税を抑えるためには

2)経費をつくる

ということもあります。経費の場合は、実際に出ていくお金

と減価償却費と言われる、実際には手元から出ていかない

お金があります。

また、個人と法人では違った対策を講じることができますので、

その点について詳細にみていきます。

事業収支計画を立てる時点で、所得税(デッドクロス)まで

考えた事業計画を立てることができれば、様々なリスクを

把握し、事前に対策を打つことができます。

4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)とありますが、

これができればベストです。しかし、賃貸経営をしていても、

入居率や情勢、税制などの変化を予期することはとても

困難です。

全ての計画で、当初立てた計画から寸分の狂いもなく、事業を

遂行できれば誰も苦労しません。そこに予期せぬことが起きたり、

賃貸経営特有の経年に伴うリスクに頭を抱えるのです。

ですので、長期計画を立てられる際にも、賃貸経営をする上での

様々なリスク(空室や家賃下落、金利上昇など)を検討して

おくことが大切です。

その中で、どのような対策が立てられるか、ということが重要に

なります。無理な計画を立てるのではなく、最悪のシュミレーションの

中での対策を考えることです。

計画前ならびに計画段階で考えられることは、これまでに説明して

きたような内容です。

あとは、運営しながら様々な対策を考えること、他の資産との組み合わせ

にて対策を講じていくことが大切になります。

企画段階で考えられることの一つとして、

3)返済期間を短くする

ということがあります。

返済期間を短くするということは、毎月の

返済額が多くなります。また、短期でのお借入

になると、その分1回の返済額に占める利息分

の割合も高くなるので、申告上経費として計上

できる分が多くなります。

この対策に関しては、借入を短期にすることで、

税務上のリスクは改善されると思いますが、

キャッシュフローは圧迫される恐れが高いです。

税務対策はできたが、肝心のキャッシュフローが

残らないという事業になっては、何をしているか

分りません。ですので、事業の計画段階できちんと

シュミレーションをした上で、何年で借入をするのか、

ということを明確にしておく必要があります。

2)元金均等返済で借入をするとどうなるかと言うと、

無 題

このような返済方法になります。

借入返済額に対する元金の割合がずっと一定に

なります。申告計算上では経費にできる利息についても

将来に向かって大きく変化することがありません。

その代わり初年度から、借入返済額に対する利息割合が

元利金等返済に比べて少ないので、所得税対策効果は

薄くなります。

ということは、デッドクロスは早くくるということです。ただ、

図でも分かるように、元利金等返済に比べて経年とともに、

大きく利息が減少するということがないので、減価償却費が

少なくなってくる15年以降でも、所得税の負担が大きくなる

ということはありません。

所得税対策をもう少し詳しく説明していきます。

まず、

1)自己資金を多くする

ということは、借入を少なくするということです。

多くの場合、新築で建てるときはフルローン(満額融資)

から総事業費の90%の借入をし、また収益物件を購入

する場合でも、総事業費の90%~80%を借入で所有

します。

では、自己資金の割合を増やして、借入額を少なくすると

どうなるかというと、元利金の返済額が少なくなります。

デッドクロスの原因となる元金返済の額も根本的に少なく

なります。ですので、キャッシュフローに対する影響が

小さくなるということです。ですので、自己資金を多くする

ことが所得税対策の一つとなるのです。

これは企画の段階で、事業計画を立てる際に決めておく

必要があります。運営が始まってからでは、自己資金の

割合を調整することはできません。

その場合は、毎年キャッシュフローを貯蓄して、繰上げ

返済に充てていくという方法になります。

このように賃貸不動産の運営が始まり、いざ所得税が

高すぎて・・・という状況になってからではなく、事業計画を

立てるときから様々な税金のリスクを考慮した計画にする

ことをお勧めします。

所得税は先ほども言いましたように、賃貸経営においては

つきものです。では、デッドクロスが起きて、所得税が上がって

いくことに対して、どうすれば良いのでしょうか。

それにはきちんと対策があります。対策は大きく分けて二つに

分けられます。

①企画段階での対策

②運営段階での対策

です。

①企画段階での対策については次の通りです。

 1)自己資金を多くする

 2)元金均等返済で借入をする(但し、デッドクロスの時期は

若干早まります。)

 3)返済期間を短くする

 4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)

②運営段階での対策をご紹介します。

 1)青色申告をする

 2)経費(損金)をつくる

 3)保険(共済)などで経費をかける

 4)繰り上げ返済をする

 5)新たな減価償却資産を購入する(築年数の浅い収益不動産

など)

 6)ローンのリスケジュール(返済期間延長)をする

 7)ローンの借り換えをして返済期間を延長する

 8)売却し、新たに購入する

 9)内部留保をデッドクロスに備える

では、年々所得税負担が大きくなるカラクリを、

簡単なキャッシュフローツリーで説明していきます。

見るポイントとしては、手残り計算と申告計算では

経費に計上できる項目が変わってくるということです。

そこでの重要な項目が

・減価償却費

・元金の返済額

です。これを実際に数字でみていきます。

【手残り計算】

総潜在収入       810.0

▲空室損         45.0

▲滞納損          0.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実行総収入       765.0

▲運営費         121.5

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実際の収入       643.5

▲返済額(利息)    156.0

▲返済額(元金)    356.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

税抜き前CF       131.5

【申告所得の計算】

総潜在収入       810.0

▲空室損          45.0

▲滞納損            0.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実行総収入       765.0

▲運営費         121.5

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実際の収入       643.5

▲返済額(利息)    156.0

▲減価償却費      220.0

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

課税所得         267.5

上記の図式のような計算式になります。手残り計算と

申告所得の計算では、青色で囲んでいる部分が

項目として変わってきます。

この項目が経年とともに同じように減少したり、同じように

増加するのであれば問題はないのですが、これが真逆の

動きをすることがデッドクロスの大きな原因になります。

この事例のように、手残り計算では手元に131万円しか

残っていないのに、税務署に申告する所得では、267万円

も利益が出たということで申告しないといけないのです。

こうなってくると何が起きるかというと、所得税を支払うと

赤字になる、ということが起きてきます。これを“黒字倒産”

と言います。

このようになる前に対策をきちんと考え、不動産経営をしていく

ことが大切になります。