北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

・木造

木造アパートにおいては、目視が中心となります。

木造の部分的な鉄部に関しては、以前にご説明した

ものと同じです。周期は6年が目安となります。

建物本体については、瓦が割れていないかの確認が

必要です。瓦が割れていたり、また、その接着剤が劣化

していると雨漏れの原因になりかねません。

外壁については、材料によります。築30年以上の建物で

多いのが、塗り壁です。塗り壁の場合は、外壁面にクラック

(ひび割れ)が入っていないか、手で表面を触ったときに

色がついてこないか、などのチェックが必要です。

クラックがあると、これも水漏れの原因となる場合が多く

あります。

観点は変わりますが、木造アパートで問題になるのが、

耐震問題です。これは、劣化とともに増々危険な状態に

なってきます。

また、劣化以外にも目視でチェックするだけで、その危険性が

分かるポイントがありますので、ご紹介いたします。

・鉄骨造

鉄骨造は他構造の建物とチェックするポイントが変わって

きます。

特に注意すべきポイントが“コーキング”です。鉄骨造でも

特に外壁をALCで仕上げている建物は注意が必要です。

この構造の場合、外壁材(ALC)を接合しているのは

コーキングです。一般的なコーキングは経年と共に劣化

していきます。特に風雨や日光にさらされる箇所については

劣化が著しいです。このコーキングが痩せて割れてくると、

雨漏れの原因になります。

また、その外壁材自体も日光が直接当たるような場所では、

劣化が進み、割れてきます。その割れから外壁材の中に

水が回ると、中の金属が錆びて大変なことになります。この

外壁材も指で触って粉のようなものが指に付着すると、劣化が

進んでいるということになります。

あとは、鉄部などは他構造の建物と同じようにチェックが必要

です。

今では、このようなALC材でも長寿命のコーキングや外壁材と

コーキングの上から塗る塗料で、長寿命の材料がいくつか

出ています。修繕の際は、そのような工夫をすることで建物を

より良い環境で維持管理していくことができると思います。

次は屋根です。屋根は本来、防水処理をしています。この

防水処理も様々であり、シート防水やウレタン防水など

施工方法は色々あります。屋根は特に日差しが直接あたり、

風雨にさらされる場所でもあります。ですので、防水が割れたり、

膨らんだりして、そこから水が廻り、躯体を劣化させるという

ことに繋がっていきます。防水材が破れてたり、膨らんでいると

補修を考えるタイミングだと考えられます。

次に外壁やサッシ廻りの目地です。ここには本来コーキングと

言われるもので防水処理されています。これは施工当初は

弾力のある素材ですが、日光や風雨の中で経年と共に硬化して

きます。また、年数が経つにつれて収縮してきて、やせ細って

きます。そうなると、その隙間から水が入って躯体に影響を

与えるとか、室内への水漏れの原因となります。チェックする

ときは、目地材を指で触り、指に白い粉が付着すると修繕の

タイミングです。これが悪化すると、指で触っただけで、ボロボロと

落ちるような状態になります。ここまでいくと漏水がいつ起きても

おかしくない状況です。ですので、そうなる前に対処が必要です。

あとは、構造に関係してこないのですが、鉄部です。例えば、

階段手摺やパイプスペース扉、玄関枠、共用灯の台座などが

代表的なものとして挙げられます。

表面的な錆であればサンドペーパーなどで表面の錆を落とし、

錆止め、仕上げと塗れば復旧しますが、これが鉄の中まで

腐食しているとそのような補修では復旧できません。鉄部を

守るという意味でも、また入居という意味でも鉄部のチェックも

大切になってきます。

建物管理のポイントについて詳しくみていきます。

①躯体の劣化度については、大きく構造に分けて3つの

見方があります。

・鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造の場合、大切なことが躯体(コンクリート)

の中に水が入らないことです。コンクリートの中には鉄筋が

入っており、その鉄筋まで水が廻ると、鉄筋が錆、膨張して

コンクリートを内側から破壊してしまうリスクが高くなります。

どこから水が入るかというと、クラック(ひび割れ)です。

クラックにも様々ありまして、割れの細いヘアークラックと言う

ものから、大きな割れで致命傷尾に至るものまで様々です。

ヘアークラックであれば、躯体に対して大きな問題はありませんが、

大きなクラックは、そこから水が浸透する可能性が高いと

思われます。

次に、軒裏の腐食です。バルコニーの裏側や共用廊下の天井

などがそこにあたります。特にバルコニーなどは防水処理を

行っていない建物もありますので厄介です。これも躯体に水が浸透

すると、劣化の原因となります。目視で白く変色していたり、

水の跡が残っていれば、補修をする必要があります。

外壁にタイルを張っている場合には、そのタイルが浮いていないか、

ということも大切です。これは、金属でタイルの表面をなでるように

叩くと、高い音がする箇所が出てきます。それはタイルが浮いて

いる証拠です。タイルが落ちて入居者さんや通行人に怪我を

させると大変なことになりますので、張り替えるなどの対応が

必要になります。

これまでの建物管理では運営はできない、と考えています。

建物管理というと、定期清掃や日常清掃、各種法定点検などを

思い浮かべると思います。確かに、間違ってはおりませんし、

これらのことは重要な要素です。

しかし、建物というのはそれだけでしょうか。他に維持、管理する

べきものはないのでしょうか。あるんです。

建物の構造によりチェックするべきものは変わってきますが、大部分は

変わらないものです。

(建物チェック)

①躯体の劣化度

 ・鉄筋コンクリート造:白華現象、タイル浮き、割れ、コーキング目地、屋上防水など

 ・鉄骨造:ALC目地・サッシ廻りコーキング、ALC劣化など

 ・木造:外壁塗り材の劣化、屋根(瓦)割れなど

②配管(給水、排水)

➂共用設備(EV・ポンプ・受水槽・共用灯など)

などが主なものとしてあげられます。

では、これまでの賃貸管理(建物管理)でここまでチェックし、

アドバイスをしてくれる管理があったかと言うと、少ないと思います。

これは、入居が決まる決まらないという話ではなく、その建物自体の

価値、運営に関わることになってきます。

ですので、建物管理をしていく中で、必要不可欠な要素になって

くるのではないでしょうか。

不動産はその建物が竣工したその日から劣化していきます。

もっと言うと、工事中から部分的に徐々に劣化が始まります。

これはどうすることもできません。

だからと言って目を背けていい問題ではありません。

様々なオーナーさまのお話を聞いておりますが、この経年率を

無視しているオーナーさまが中にはいます。自分の不動産は、

あたかも新築であるかのように考えており、それが原因で

空室が長期化している場合もあるのです。

それを私は経年率と呼んでおります。建物を新築して、年数が

経過するとともに、その建物の価値は減少していきます。それは、

建物の躯体や設備はもちろんのこと、間取りや空間なども

経年と共に劣化(ニーズに合わない)していくものです。

例えば、不動産で経年していくものとして次のようなものがあると

考えております。

(経年率がかかるもの)

・躯体(外観・エントランス・共用部など)

・内装

・間取り

・建物の雰囲気(外構なども含む)

・募集条件(家賃・共益費・敷金・礼金など)

・募集方法

などがあると思います。これらが経年と共に劣化し、価値を下げて

いくのです。ということは、これらの項目について、経年に合わせて

対策を講じていけば、安定した賃貸経営を実現することができると

いうことです。

物件力については次のように考えています。

「物件力=当初の建物価値×再生率×経年率(+適正条件)」

建物は竣工したときから確実に劣化の一途を辿ります。もっと

言うと、工事中から部分的に劣化していくものです。これは、

地域性やオーナーさまの属性などには一切関係なく、どの

建物も同じようになります。

資産価値を高め、適正な家賃を得ようと思えば、それなりに

建物を再生していかないといけません。経年率に負けない

くらいの再生をしていかないと、建物の価値は減少していくものです。

このように考えて物件力をつけていくこと、回復していくことを

しなければこれからの賃貸市場では入居者に選んでもらうことは

できません。

今後、入居者とオーナーさまが直接出会うような時代になると、

この物件力(+適正条件)でその後の運営にも影響してきます。

物件力をつけず、家賃を下げ続けると、その物件の魅力は

“安い家賃”のみとなります。そのような物件に入居する方は、

それなりの属性の方しかおりません。

逆に、物件力をつけ、相場よりも若干高い家賃で経営を続けて

いくと、そのような魅力的な物件を選ばれる方はとても魅力的な

入居者さんに違いありません。

オーナーさまと入居者さんの間に仲介会社さんがいなくなると、

入居者審査なども甘くなり、満室することはできても、入居者同士の

トラブルやクレームに追われる日々がくるかもしれません。

ですので、賃貸市場の動向や将来性を考えても、これからの物件には

“物件力”が必要不可欠になってきます。

賃貸仲介会社さんのあり方は、今後大きく変わってきます。

今までは、お部屋探しに来るお客さまのニーズを聞き、

そのニーズに合った物件を探し、案内し、紹介(プレゼン)し、

成約する。このように仲介営業マンの仲介力(営業力)が、

みなさまオーナーさまの入居状況に大きく影響を与えて

いました。

しかし、これからは仲介力ではなく“物件力”の時代です。

なぜなら、何度もお伝えさせて頂いているように、今は

入居者希望者がインターネットなどを駆使して、自分で気に入る

物件を探してきます。仲介会社さんに行くときは、その決めた

物件の鍵を準備し、送迎してもらうためだけです。

ということは、少なくともインターネット上で検索し、目にとまる

物件でないと今後は厳しいということになります。ですので、

物件力(物件の力と適正な募集条件)が必要になるのです。

そう考えると、お部屋探しをしている方とオーナーさまが直接

出会う場があるとすると・・・。また、現地を直接案内するのか、

ある程度自由に見学してもらえるスキームが組めるとすると・・・。

最近では、そのようなオーナーさまと入居希望者が直接出会う

ためのプラットホームが整備されてきております。

賃貸市場の傾向としては、このような傾向になってきているので、

オーナーさまもこの動きを察知した上で、今後の賃貸募集の

あり方を考えていく必要があるのではないでしょうか。

少し特殊な事例としては、

“ブログ”

を活用しているオーナーさまもおられます。

どのようにしているかというと、アメーバブログで自分の

アカウントを作成し、そこで所有しているマンションの情報を

更新し続けているのです。

物件の募集条件はもちろん、室内外の写真であったり、

周辺環境や近所でのお祭り、イベントなどの情報を発信している

のです。これは、満室のときでも継続することができます。

更新頻度が高いということは、それだけ閲覧される方の目に

触れる確立も上がりますし、マッチングする可能性が高くなります。

また、そのブログだけではなく、他のポータルサイトへのリンクを

貼ることで露出を高めて、入居者を直接集めています。

最近では、

「仲介手数料0円で住める賃貸」とか「シェアハウス系」

の賃貸仲介専門のポータルサイトが数多く存在します。そのような

ポータルサイトにきた人が、ブログへ飛んでくる、というような仕掛け

をしたりしています。

これは、素人ではなかなか難しいことかもしれませんが、自分の

得意分野を活かしていくことが大切です。そう考えると、その方法は

無限大にあります。

これからはこのような時代になってきますので、オーナーさまも直接

入居者さんを囲い込むことを考えていく必要があるのです。

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