北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

賃貸経営ではここが“ミソ”になります。

賃貸経営をしていると、

・空室が多くなった

・家賃が下がった

・滞納で困っている

・変な入居者がいる

などといった、ことで頭を悩ませているオーナー様が

ほとんどです。

しかし、そんなことって賃貸経営の経営から考えると

大きな問題ではないのです。そこに根本的な問題がある

場合もありますが、まずは経営からみてどこが問題かを

考えることが必要です。

経営を考えたり、分析したりするときに用いるのが

キャッシュフローツリーです。これは簡単ですので、

オーナー様なら誰でもできると思います。

詳しい計算などは後ほどご紹介します。

賃貸経営を一つひとつ紐解いて、分析し、問題が

どこにあるのかを明確にすることから経営改善は

始まります。

ここで面白い話をします。

借入返済の金額の内訳は

・元金

・利息

の合計を毎月お支払していると思います。

ということは当たり前のことですが、元金と

利息の合計金額を手元からお支払している

ということです。

しかし、申告上の計算では利息のみしか

経費として算入することができません。

元金は元々金融機関から融資を受けて、借りた

お金だからその分は経費としては見ませんよ、

ということです。

手元からは元金も出ているのに、経費として

計上できるのは利息のみ。

元利金等返済方式の場合は、その利息も支払年数が

経過すればするほど、支払額は減少していきます。

ということは、経費計上できる利息分が減少して

いくということです。

これが後でもご説明しますが、

「デッドクロス」

という黒字倒産を引き起こす原因となります。

ですので、借入額や金利、返済方法、繰上げ返済

をするのかなどをきちんと検討することが大切に

なってくるのです。

すでに賃貸経営をしている場合は、既存の借入に対する

返済額を抑えることも一つ経営改善になります。

既存借入返済額を抑える方法としては

①金利を交渉する(既存借入先で下げる)

②繰り上げ返済をする

③借り換えにより金利を下げる

④借り換えにより借入期間を延長する

⑤リスケジュールをする(既存借入先で延ばす)

という大きく5つの方法があります。

②~④に関しては、金融機関とのお借入当初の契約内容

によっては、繰り上げ返済をする場合に違約金が

必要になる場合がありますので、違約金を支払った上で

どうなるのか、ということを考えないといけません。

たいていは、借り換え先の金融機関さんがシュミレーションを

してくれますので、それを参考に

毎月の返済額がいくら軽減されて、

違約金を含めて総返済額がいくらになるのか、

ということを検討する必要があります。

このように月々の返済額を見直すことでCFという

観点での経営改善は可能になります。

金融機関からの資金調達と言っても様々な金融機関が

あります。それぞれに特徴があるので、簡単にご説明

します。

金融機関の種類としては大きく4つあります。

①国の機関

②メガバンク

③地方銀行

④信用金庫・信用組合など

この4つの中でもそれぞれの金融機関により得意とする

ところや条件には差異がありますが、大まかにご説明する

と次のようになります。

①国の機関

 (融資額)事業費のほぼ100%

 (期間)最長35年

 (金利)1.3~2.5%

 ※15年固定と35年固定から選ぶことが可能です。

 (その他)一般的な賃貸住宅の場合は様々な条件があります。

②メガバンク

 (融資額)事業費の約70~80%

 (期間)建物構造の法定耐用年数以内

 (金利)1.0~2.0%前後

金融機関から融資をしてもらうのに、

何年の借入をするか、ということも賃貸経営において

大きな要素となります。

ちなみに、借入期間については賃貸不動産の構造

によってある程度決まってきます。

キーワードは「法定耐用年数」です。

・木造 : 22年

・鉄骨造 : 34年

※鉄骨造は鉄骨の厚みで更に細かく細分化されます。

・鉄筋コンクリート造 : 47年

この法定耐用年数が基本的には借入期間の上限となる

場合が多いです。

借入返済期間を長期で組めれば組めるほど、

毎月の返済額は少なくなり、経営は安定していきます。

ですので、新築する場合でも、また既存物件を購入する

場合でも賃貸経営という観点で構造を観ることが

大切になってきます。

また、後ほど詳しくご紹介しますが、法定耐用年数により

減価償却期間も変わってきます。これは、償却できる資産に

影響してきますので、所得税ということに大きく影響

してきます。

借入期間と一言で言っても、返済額や経営のキャッシュフロー、

はたまた所得税と言った様々な観点でみていくことが重要に

なってきます。

金融機関が融資をするか否かのもう一つの

モノサシが「積算評価(担保評価)です。

これは、その不動産(土地・建物など)がどのくらいの

価値があるのかを評価するものです。

この評価次第で融資額に影響を及ぼしてきます。

融資依頼者の希望している額に対して満額融資する

ことが可能なのか、もしくは80%までなら可能なのか

というようなことです。

この評価については、金融機関ごとにそれぞれの

指標があるので一概には言えませんが、大まかに

この評価の基準は次の通りです。

(積算評価・担保評価基準)

■土地

・路線価評価(路線価額×土地面積)

 ※一部極端に広大な土地の場合は例外があります。

■建物

・木造:130,000円/㎡

・鉄骨造:150,000円/㎡

・鉄筋コンクリート造:180,000円/㎡

となります。建物に関しては、この評価単価に建物の

法床面積に乗算したものが評価額となり、融資の限度額に

なる場合が多いです。

金融機関が融資をするか否かを検討する際に、

最初にみるポイントが大きく2つです。

①当該事業の収益性

②当該事業の積算評価(担保評価)

です。

この指標を分析し、融資できる事業なのかどうか、

いくらまで融資するのかということを判断します。

金融機関により評価の仕方に若干の差異はありますが、

一つの指標としてご紹介します。

何かの事業を考えるときに参考にしてください。

(金融機関の収益性分析の仕方)

①入居率80%

②経費率80%

③借入金利5%

上記の条件でシュミレーションを行い、収支が赤字になるか

黒字になるかということを判断します。

赤字になる場合は、単独の事業としての融資は困難になります。

少しでも黒字になれば融資は可能であると判断できます。

簡単に言うと、その事業の収入に64%を乗算し、返済額については

耐用年数に応じた返済期間と希望借入額を

金利5%で調達した場合で計算してみるのです。

これで黒字になれば1つ目の条件はクリアーです。

金利が下がれば毎月、毎年の借入返済額は下がり、

金利が上がると借入返済額は上がります。

当然のことですが、ではどうすれば少しでも低い金利で

金融機関から資金を調達することができるのでしょうか。

ポイントは大きく4つです。

①当該計画の収益性・積算評価

②本人の個人属性(資産属性、収入属性)

※1) ③建築請負会社の経営体質

※2) ④運営会社の経営体質(借上会社・介護事業者など)

概ね、①と②が主な金融機関からの評価対象になりますが、

※1)は賃貸不動産を新築するとき、

※2)は当該賃貸不動産を所有後に運営委託するとき

などに参考評価される場合が多いです。

ということは、当該計画の収益性や積算評価は

どのような属性の方が所有しても大きな変化があるものでは

ありません。

②の本人の属性を良くすることはもちろんのこと、

どのような建築会社に委託するのか、

どのような運営会社に運営を委託するのか、ということまで

きちんと考えることが大切になってきます。

次は金融機関の収益性の見方をみていきましょう。

借入返済金については、運営費という表現はおかしい

かもしれませんが、経営をする上ではとても重要な要素に

なります。

賃貸物件を新築または購入される際に、金融機関からの

お借入をされる方が大半だと思います。

借入をすると返済がついてきます。

当り前のことですが、借入というのは大きく3つの要素で構成されています。

(借入の構成要素)

①借入額(融資額)

②借入期間

③金利

※この3つとは別に特約や条件などがある場合がございます。

毎月の返済額を抑えようと思えば、

①借入額を減らす(自己資金を増やす)

②期間を延ばす

③金利を下げる

ということをすれば返済額を減らすことができます。

①については、自己資金に余裕のある方はできますが、そうでない方に

ついては難しいかと思います。

自己資金を増やすことができれば、その事業の

リスクは減りますが、総合的な資産バランスに問題がでる場合があります。

②は建物の構造、耐用年数によりある程度は決まってきます。

③が格差が出る大きなポイントです。次は金利について説明していきます。

不動産を所有していると必ず必要になるのが、

この「固定資産税・都市計画税」です。

ここを下げることを考えるオーナー様は少ないかと思います。

日本の景気や不動産の価値の変動により、

所有している不動産の評価が変動し、それに伴い

見直しの時期に固定資産税などが下がったり、上がったり

することはあります。

物件によっては建物の固定資産税を下げることが

できる場合があるのです。

下げるというよりは、“適正化”するということです。

これは新築当初の評価方法に間違いがないかを検討し、

手違いで高い評価がされている場合に適正化するという

ことです。

ですので、図面を元に一から評価をしなおすということです。

固定資産税を適正化できる物件としては、様々な条件があり、

・物件規模が大きいこと(新築当初3億円以上)

・平面プランが複雑なこと

など検討する前の段階でいくつかの壁があります。

見直すことが出来ない、と思われるような経費(出費)でも、

一度検討してみることでより良い経営が可能になるかも

しれません。